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『百舌鳥魔先生のアトリエ』小林泰三 感想

昨年の訃報はショックで、持っている本を読み返したりなどしましたが、こちらは初読です。


表紙のイラストはなんだかお洒落っぽいなと思ったのですが、中身はちゃんと、著者らしいグロさえげつなさで面白かったです。
ひとことずつにはなりますが、簡単に感想を書かせていただきます。

 

「ショグゴス」 ふたつの謎の生物、知性が高いらしい不定形のものとそれに依存しているらしい通称海百合が突如現れ、人間が対処に翻弄する話。考えてみたら、すごくシリアスに重厚にもできそうなお話なのに、このサイズでおふざけもふんだんに取り入れてしまっていて、ハイテンションに突っ走っているのがとても楽しい。

 

「首なし」 火事の際の不運で頭部のほとんどを失ったが奇跡的に生き続けている男。頭部は再現してレジン漬けで保存されている。語り手は彼を慕っていたお嬢様で、この人がとてもおかしい。収録作の中でも特に好きな作品でした。

 

「兆」 異常行動の末自殺をした女子が、彼女を虐めていた生徒のもとに訪れる。造りは入り組んでいるものの、ページから飛んでくるのは直球ホラーという印象でした。一時期の角川ホラー文庫ってこういう雰囲気の作品多かったなー、てなんだか懐かしくなりました。

 

「朱雀の家」 戦時下、京都に住んでいた男が、ふと気付くと米国の研究者になっている……これは掴みどころがよく分からなかったです。

 

「密やかな趣味」 アンドロイドを簡単に買える時代に、少年のアンドロイドを購入してあぶない欲を満たそうとする女性の話。グロさぴかいちだし、ある意味短編らしい短編。

 

「試作品三号」 創られた最強の妖怪の話。長編で『ネフィリム』という血みどろ吸血鬼小説が好きなのですが、通じるものがあって楽しかったです。

 

「百舌鳥魔先生のアトリエ」 主人公の妻が、とある芸術に憑かれてしまう。その芸術とは……。これもグロいですねえ。そういう括りがあるか分かりませんが、正統派のグロと思いました。

 

グロ要素が苦手な方はくれぐれもご注意を……